生でも焼いても美味しい牡蠣ですが、あたりやすいのが玉に瑕。運よくあたらなくても牡蠣の食べ過ぎで気持ち悪くなったことはありませんか?牡蠣の食べ過ぎで出る症状や食べ過ぎによる危険性は?1日何個までなら食べても大丈夫?などを解説します。
牡蠣の魅力
クリーミーな食感と独特の旨味が美味しい牡蠣は、生食できる二枚貝の中ではいちばん人気があるのではないでしょうか?生牡蠣をはじめ、牡蠣フライや牡蠣ご飯、牡蠣のグラタンなど、レシピも豊富。
スーパーでは、旬の季節以外にも冷凍の牡蠣が手軽に手に入り面倒な下処理が必要ないことから、今や定番の食材になっています。
食べ放題の牡蠣小屋
ひと昔前は敷居の高かったオイスターバーも、最近では、新鮮な生牡蠣をはじめバラエティに富んだ牡蠣料理を楽しめるレストランとして人気です。
また海辺でバーベキューをするように、店内で自分で牡蠣を焼いて食べる、食べ放題の牡蠣小屋も人気を集めています。
世界中で愛されてきた牡蠣
牡蠣はその独特の旨味と疲労回復や滋養強壮の効果から、非常に古い時代から世界中で食材として使用されてきました。日本では縄文時代の貝塚から牡蠣の殻が大量に発見されています。
また古代ローマでは牡蠣の養殖が盛んだったとか。いかに牡蠣が愛されてきたかがわかりますね。
冬が旬の真牡蠣と夏が旬の岩牡蠣
牡蠣は冬が旬と思われがちですが、ほぼ年間を通して流通しています。11月~4月にかけては真牡蠣、6月~9月にかけては岩牡蠣が出まわり、それぞれ見た目にも味にも違いがあります。
真牡蠣の身の色はミルクのような乳白色、牡蠣ときいて思い浮かべるのは真牡蠣の身ではないでしょうか?
岩牡蠣にくらべて殻も薄く身も小ぶりですが、牡蠣の旨味を凝縮したクリーミーな味わいが特徴。
一方、殻も身も大ぶりの岩牡蠣は、身の色はやや褐色がかっていて、クリーミーであっさりした味が特徴です。
牡蠣は海のミルクと言われるほど栄養満点
牡蠣が海のミルクと呼ばれるのは、ミルクのような乳白色の身の中に、完全栄養食といわれる牛乳のように豊富な栄養が含まれているからです。
栄養価の高さ
牡蠣には良質なたんぱく質をはじめ、必須アミノ酸、ビタミンB群、カルシウム、亜鉛や鉄などのミネラル類が豊富に含まれています。クリーミーな味わいから高カロリーに思える牡蠣ですが、実はむき身の牡蠣1つあたり(約20g)、およそ12kcal。高たんぱくで低カロリーの食材なのです。
牡蠣に期待できる効能
牡蠣にはさまざまな栄養素が含まれているので、効能も多いのですが、その中でもとくに期待できる効能があります。
疲労回復
牡蠣に豊富に含まれる糖類の一種であるグリコーゲンは、即効性のあるエネルギーとして、疲労回復に役立ちます。肝臓の機能を高めるほかに、血液の流れを促進する、脳の働きを活発にするなどの効果が期待されます。ちなみにロングセラーの「グリコ」は、キャラメルにグリコーゲンを加えたお菓子で、名前の由来はグリコーゲンからなのだとか。
健康な体を維持
牡蠣の栄養といえばタウリンも有名ですよね。タウリンは「ホメオスタシス」という体の状態を正常に保つ作用があります。健康を体でいるためには欠かせない成分。肝臓の機能や血圧を正常に戻し、血中の悪玉コレステロールを低下させるなどの効果があります。また網膜細胞に活力をあたえ、疲れ目や老眼を改善する効果もあります。
タウリンは人間の体内でも生成されますが、体内で作られるタウリンは年々減っていきます。とくに女性は年齢とともに不足しがちなので、タウリンを含む牡蠣などの食材を積極的に摂取することをおすすめします。
貧血防止
牡蠣に含まれる鉄分とビタミンB12は、女性の大敵である貧血に効果があります。動物性たんぱく質である牡蠣に含まれる鉄分は、ヘム鉄と呼ばれる体内に吸収されやすい鉄。またビタミンB12には赤血球を作る働きがあり、牡蠣は貧血になりやすい女性にとってうれしい食材といえます。
牡蠣の食べ過ぎは危険?食べ過ぎたときの症状
牡蠣にはこれだけ豊富な栄養が含まれているのだから、食べれば食べるほど体に良いのでは?という気もしますが、実は牡蠣に含まれている栄養素には、過剰に摂取すると体に悪影響を与えるものもあります。
牡蠣にあたると嘔吐や下痢、腹痛などの症状があらわれますが、あたったわけでもないのに、めまいがしたり、気分が悪くなった…。それはもしかしたら牡蠣の食べ過ぎによる亜鉛中毒かもしれません。
亜鉛の取り過ぎ
牡蠣に含まれる亜鉛は、現代人に不足しがちな代表的な栄養素の一つ。
亜鉛は体のさまざまな生体反応に必要なミネラルの一種で、体内で生成できないため食事から摂らなければなりません。不足すると成長障害や味覚障害、貧血、免疫力の低下などの症状があらわれることがあります。
ですが亜鉛は取り過ぎによっても体に悪影響がでるので、亜鉛を多く含む牡蠣は食べ過ぎないように、適量を食べることをおすすめします。
亜鉛の取り過ぎによって起こりうる急性の症状
亜鉛を食べておよそ半日から1日以内に起こりうる以下のような症状があります。
- 胃が痛くなる
- 気持ち悪くなる
- 頭痛や発熱
- 倦怠感
- めまい
- 吐き気
- 腹痛や下痢
牡蠣食べ過ぎ?のせいでめまいと吐き気がヤバくなるとは知らないときに浮かれて撮った牡蠣 pic.twitter.com/r81cqBu7VU
— つっこ (@____sugarhigh) August 14, 2019
亜鉛の取り過ぎによって起こりうる継続的な症状
継続的に亜鉛の過剰摂取が続くと、以下のような症状がでることがあります。
- 銅や鉄の不足によって貧血になる
- 免疫力が低下する
- 神経障害
- 善玉コレステロールが低下する
プリン体の過剰摂取
栄養たっぷりの牡蠣にはプリン体も多く含まれています。プリン体は尿酸値を高めるので、高尿酸血症や痛風の人にとって牡蠣の食べ過ぎは危険です。ですが、絶対に食べてはいけないわけではありません。
高尿酸血症や痛風の人が1日に摂取するプリン体は400㎎以下が望ましいとされています。牡蠣に含まれるプリン体は100gあたり約180㎎。牡蠣1個が約20gと考えると、牡蠣1個に含まれるプリン体は36㎎。プリン体の量だけで考えると、牡蠣を11個まで食べられますが、ほかのプリン体を含む食材とのバランスで決めることをおすすめします。
来たかった、新潟古町の
— 友希♡ライブ命 (@yukihyoudo) January 21, 2022
あさやさん💓
とか食べてみたかった
痛風鍋🫕
牡蠣、あん肝、真鱈白子!!
あーー楽しみーー😚😚😚😚 pic.twitter.com/7osvJvpKIX
ノロウイルス・腸炎ビブリオ
激しい下痢や嘔吐などの症状を引き起こすノロウイルス。毎年冬になると牡蠣を含む二枚貝が原因の食中毒は報告されますが、その多くはノロウイルスです。
食べ過ぎによって引き起こされる症状ではありませんが、生の牡蠣を食べ過ぎるとノロウイルスにあたる可能性も高くなります。牡蠣に起こりやすい食中毒には、ノロウイルスのほかに細菌性食中毒の腸炎ビブリオがあります。
潜伏期間と症状
ノロウイルスは10月~4月にかけて発生しやすく、潜伏期間は1日~3日といわれています。激しい下痢や嘔吐、腹痛、38℃以下の発熱などの症状があります。
腸炎ビブリオは夏から秋にかけて発生しやすく、潜伏期間は8時間~24時間。激しい腹痛や水様の下痢、発熱、嘔吐などの症状があります。
加熱用の牡蠣は生で食べない
スーパーで生食用の牡蠣と加熱用の牡蠣が売られていますが、加熱用の牡蠣は必ず中心部まで火を通して食べるようにしましょう。抵抗力の弱い子供や高齢者がノロウイルスや腸炎ビブリオに感染すると、重症化するおそれがあります。
牡蠣アレルギー
牡蠣に含まれるトロポミオンという成分が原因でアレルギー反応がでることがあります。喉の痒みや発疹、蕁麻疹などがあらわれることもありますが、下痢や嘔吐、腹痛など食中毒と似た症状がでることもあります。
アレルギーのによる症状は食中毒よりも発症する時間が早いといわれています。アレルギーによる症状の場合は、命にかかわるアナフィラキシーショックを起こす可能性があるので、すぐに病院で診てもらう必要があります。
もし牡蠣を食べ過ぎて体調が悪くなったら
では牡蠣を食べ過ぎて体調が悪くなったときは、どうすればいいのでしょうか?
亜鉛の過剰摂取によって亜鉛中毒の症状がでているときは、それ以上食べなければ症状はおさまりますが、症状が重いときや翌日になっても不調が続くようであれば、病院へ行きましょう。
ノロウイルスや腸炎ビブリオなどの食中毒にかかったときは、下痢や嘔吐で脱水症状になることがあるので、症状が落ち着いてきたら水分を取るようにしてください。点滴が必要なときもあるでの、病院で診てもらいましょう。
ノロウイルス❤️
— けんとま (@meiwakumeiluzai) January 24, 2022
もう生牡蠣一生食わん!www pic.twitter.com/KSZLkbsfrD
牡蠣は1日当たり何個まで?
牡蠣の食べ過ぎによる亜鉛中毒のリスクを避けるには、1日の亜鉛摂取量の上限値を知っておく必要があります。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、男性の1日に摂取する亜鉛の耐用上限量は、18~29歳で40㎎、30~64歳で45㎎、65歳以上は40㎎、推奨量はおよそ11ℊです。女性の場合は、18~74歳で35㎎、75歳以上は30㎎で、推奨量は8㎎となっています。
牡蠣に含まれる亜鉛は100gあたり14㎎。牡蠣1個を20gとすると亜鉛の量は2.8㎎。
単純に計算すると、牡蠣を1日当たりに食べてもよい量は男性が14~16個、女性が10~12個です。
しかし牡蠣は亜鉛のほかにプリン体を多く含んでいることを考えると、健康のために1日あたり10個程度にしておくことをおすすめします。
新鮮な牡蠣を見分ける方法
牡蠣は新鮮なほど旨味が濃厚です。新鮮な牡蠣を見分けるにはいくつかポイントがあります。
- 身がふっくらしている
- 身がつやつやしている
- 貝柱が半透明で大きい
- 身のふちの黒い部分がくっきりしている
上記の4点を目安に選んでみてください。
まとめ
栄養たっぷりの牡蠣には、日本人に不足しがちな亜鉛も豊富に含まれています。亜鉛が不足すると体にさまざまな悪影響がありますが、取り過ぎても亜鉛中毒になることがあります。
牡蠣を食べ過ぎて、胃痛や気持ち悪さ、頭痛、発熱、だるさ、めまい、吐き気、腹痛、下痢などの症状があらわれたら、亜鉛中毒の可能性があります。
またプリン体の取り過ぎになるので、高尿酸血症や痛風の人は食べ過ぎないように要注意です。
亜鉛やプリン体の過剰摂取を避けるには、牡蠣は1日10個までにとどめておいてくださいね。