寒い季節は感染症が流行りやすい時期といえるでしょう。感染対策の1つとして加湿があげられますが、自宅に加湿器がないという方もいるのではないでしょうか。そんな方でも気軽に加湿に代用できる方法をご紹介します。
そもそも加湿は何故大切なのか
空気は、温度によって取り込める水分量が異なります。温度が高ければ高いほど水分を取り込めるため湿度は上がり、低いほど水分を取り込めなくなるため湿度は下がります。そのため、冬は湿度が低くなりがちです。そこに暖房器具などで暖かい乾いた風を送る事で、より湿度が下がってしまい、乾燥を招く原因となってしまいます。 だいたい湿度が30%を下回ってしまうと、喉の乾燥や肌の乾燥が顕著になります。喉には侵入してきたウイルスなどを外に排出する機能(線毛)が備わっています。粘液下にあるため、常に潤っている箇所です。しかし粘液が乾燥してしまうと、線毛の動きが悪くなってしまい、ウイルスを体外へ排出することが難しくなってしまいます。そのままウイルスが体内へ侵入してしまうとウイルスに感染してしまうため、線毛の機能は感染予防にとても大切といえるでしょう。線毛の機能を保つためには適度な加湿が必須です。加えて、肌が乾燥をすることで、肌のバリア機能が低下するため、肌トラブルが起こりやすくなります。どちらにせよ、加湿は大切です。
また、ウイルスは湿度が高い環境では、空気中の水分がウイルスに付着するため重くなり、地面近くを漂うことになります。しかし湿度が低い環境下では空気中の水分が少ないため、ウイルスが空気中を自由に舞うことができるようになります。また、気温が低く、湿度が低い環境はウイルスが活動しやすい環境であるため、感染症が長引いてしまう原因となってしまいます。ウイルスの活動を低下させるためにも加湿が大切ということになります。
加湿器の代わりになるもの
洗濯物で加湿器を代用
普段は外に洗濯物を干している、という方にはおススメの室内干しです。洗濯物の水分が蒸発し、室内を加湿してくれます。また、紫外線や花粉、外気汚染から洗濯物を守ることができるため、布の繊維を傷めにくく、清潔なまま乾かすこともできます。しかし室内干しだと洗濯物に匂いがついてしまうこともあるため、室内干しをするときは、専用の洗剤を使用するようにしましょう。また、窓や壁の付近で室内干しをすると、湿気がこもってしまい、カビや結露の原因となってしまうため、なるべく風通しの良い場所で干すようにすると、乾きやすく、加湿も部屋全体にでき、効果的でしょう。「今まで外で干していたからいきなり全部室内干しはちょっと」という方は、洗濯物全部ではなく、バスタオル1枚でいいので、室内で干してみることをおススメします。6畳ほどの部屋であれば、バスタオル1枚ほどで十分加湿してくれます。
お風呂に水を張って加湿器を代用
入浴し終わった後のお湯を溜めておき、加湿に使用することも有効的です。入浴後の残り湯なので、どうせ捨ててしまうなら加湿に再利用しちゃいましょう。ホテルに宿泊している際など、自宅ではない場所で加湿したいときに、有効的でしょう。浴槽がないお宅やお湯溜めておくことで浴槽が汚れる事が嫌な方は、コップにお湯を入れて室内に置いておくだけでも効果的です。水よりお湯の方が、蒸発しやすい性質をもっているため、早急に加湿したい場合はお湯を使用しましょう。お湯を取り扱う際には火傷に十分注意してください。
ケトルでお湯を沸かして加湿器を代用
お湯を沸かして置いておくだけで加湿する事ができます。水は100度で沸騰し、水蒸気になる性質があります。そのため、ケトルで水を沸騰させ、蓋を開けておくだけで、大量の水蒸気を作ることができます。ケトルがない場合は鍋でも同様な方法をとることができます。
観葉植物で加湿器を代用
観葉植物は種類によりますが、水遣りが必要なものが多いと思います。水遣りをするだけで加湿になりますが、植物は吸収した水分を水蒸気として排出(蒸散)しているため、水遣りの頻度が少ない植物でも加湿してくれます。観葉植物は近年癒しとして人気が高まっていますが、癒し効果だけでなく、加湿の効果もあるなんて、一挙両得ですね。
霧吹きで加湿器を代用
手軽に加湿できるものとして、霧吹きの使用をあげることができます。霧吹きは100円ショップで購入する事ことができ、掃除などにも使用できるため、自宅にある方も多いのではないでしょうか。また、最近消臭スプレーなども霧吹きタイプのものが多く、空になった消臭スプレーを持っている方もいると思います。その中に水をいれ、1吹きするだけで加湿をすることができます。ただし、急速に加湿したいからと何度も吹き続けると、気づいたら床がびしょ濡れになってた、なんてこともあると思いますので、部屋全体に吹き付けるようにしましょう。
紙や布で加湿器を代用
もう少し見た目が華やかで加湿ができるけど、手軽なものがいい!という方は、自作で作成してみてはいかがでしょうか。例えば、ペットボトルたコップなど好きな容器に水を入れ、ペーパータオルやフェルトなどを好きな形にアレンジし、それを容器に差し込むだけで、ペーパータオルやフェルトが水を吸ってくれるため、手軽な加湿器として使用できます。100円ショップにあるもので作る事が可能なため、手軽におしゃれな自分だけの加湿器が作れそうですね。
石油ヒーターで加湿器を代用
石油などの化学燃料を燃やした際、化学反応が起こり、空気中に水分が放出されます。石油を燃やした量と同等量の水が排出するといわれています。そのため、灯油を使用するヒーターは使用中に加湿することができます。また、ガスも同等の原理で加湿が可能のため、ガスコンロを使用した料理などでも加湿を行うことができます。しかしどの方法も火を取り扱うため、くれぐれも注意は必要です。
部屋を水拭きして加湿器を代用
床のお掃除で水拭きをする方もいると思いますが、床を水で拭くだけで加湿することができます。もちろん床だけじゃなく、壁や手すり、テーブルなどの水拭きでも加湿は可能です。掃除することで部屋がきれいになるだけじゃなく、加湿もできるなんて、嬉しいですね。
マスクで加湿器を代用
マスクも乾燥を防ぐためには効果的といえます。会話をするなど、口を開けている事があれば、そこから喉に必要な水分が蒸発してしまうため、マスクはそれを防ぐことができます。しかし、部屋自体が加湿されるわけではないため、肌の乾燥などは改善しないでしょう。
加湿器の楽しみ方
自宅にお気に入りの加湿器があり、それを使用しているならば、寒い冬ではぜひ重宝してください。最近の加湿器にはアロマディフューザーの役割を兼任している加湿器(アロマ加湿器)も販売されています。アロマディフューザーはアロマの匂いを拡散させる効果はありますが、加湿の役目はないため、アロマ加湿器はその点を補っているといえるでしょう。ただ加湿するだけでなく、好きな香りが部屋中から香ってくると、その日1日がとても良い日に思えてきますよね。もちろん、専用の加湿器だけでなく、コップにお湯をいれた即席加湿器や、紙や布で作った加湿器にアロマオイルを1滴垂らすだけでも、アロマ加湿器の効果を感じる事ができるでしょう。おうち時間が増えた昨今では、ぜひ試したいものですね。
加湿器の注意点
加湿器は室内全体を加湿してくれる一方、常に水が機械の中に入っているため、カビの温床となりやすいです。機械内で繁殖した菌がそのまま加湿器を通して空気中に飛散、それを吸い込んでしまうと、菌による感染が気管や肺で起こり、呼吸器症状を引き起こす可能性があります。そのため、定期的な清掃を行うなど、清潔に管理しておく必要があります。これは自作の加湿器でも起こりうるため、こまめに水や紙を替えるなど、清潔に保ちましょう。
加湿器がない時に代わりになるものまとめ
- 冬は乾燥する季節であるため、感染症を引き起こしやすい
- 加湿をすることで免疫力を上げることができる
- バスタオル1枚で室内の加湿が可能
- バスタブやコップにお湯を溜めることで加湿が可能
- ケトルや鍋でお湯を沸かすことで加湿が可能
- 観葉植物の自然な力で加湿が可能
- 霧吹きで水をミストにして撒くことで加湿が可能
- 紙や布で自作の加湿器を作成して加湿が可能
- 石油ヒーターなどで化学燃料を燃やして加湿が可能
- 水で部屋を拭き掃除することで加湿が可能
- マスクで喉の水分を保持することで加湿が可能
- アロマオイルを使用する事で、香りを楽しめる加湿器が作れる
- 加湿器は菌が繁殖しやすいため、こまめな掃除が大切
いかがでしょうか。加湿器がなくとも、日常生活であるものを駆使してこれだけ加湿できるものがある、ということは新たな発見につながったのではないでしょうか。寒さの厳しい冬ですが、家にあるものを上手に工夫して、元気に乗り越えましょう。